築後46年という歳月を経たヴィンテージマンションを、現代のライフスタイルに合わせて、骨組み(スケルトン)から再構築したフルリノベーションである。ここは、クライアントの実家であり、学生時代まで過ごしたマンション。ご両親から贈与を受けることになり、計画がスタートしました。
海抜14mに位置する砂丘地の高台、当社モデルルーム Vintage-01と同マンションである。新潟島を一望できる最上階というポテンシャルを最大限に活かし、ただ新しい設備に変えるだけではない、建築的な工夫と素材の質感にこだわった空間設計をクライアントと共に計画した。
・モルタル仕上げによる風合い豊かな天井と下がり壁
最上階という構造上、屋根面には外気の影響を防ぐための外断熱。内断熱(断熱材)が施され、一般的なリノベーションで人気の“RC(鉄筋コンクリート)躯体表し」を選択することは物理的に不可能であった。そこで、今回は天井や構造梁等の表面にモルタル塗装を施す手法を採用した。躯体表し特有の荒々しさと無機質な質感を精巧に表現しつつ、空間全体の意匠性を引き締めています。
・ラワンべニヤの質感で一新する、木質アクセントウォール
メイン空間となる壁面には、量産ビニールクロスを一切排除し、ラワンベニヤ(合板)を目透かし貼りで施工しました。ベニヤが持つ特有の繊細な木目とわずかに赤みがかった色合いが空間全体に圧倒的な温かみとクラフト感を与えています。また、既製品には出せない端正な目地(ライン)が壁面自体に意匠的なリズムを生み出している。
・視線と光をコントロールする格子状の間仕切り造作棚
リビングと隣接する寝室との境界には、空間を完全に遮断するのではなく、空間の連続性を意識した格子状のオープンシェルフを配置しました。光や風、視線を緩やかに通しながら、空間を機能的にセパレートする役割を果たしています。棚のなかにディスプレイされた小物たちがリビングのアイストップとしても機能します。
・間接照明による光のグラデーションと動線計画
天井のモルタル面を優しく照らし出す間接照明を壁伝いに仕込むことで夜間にはモルタルのコテ跡が浮かび上がる美しい光のグラデーションを計画。さらにダイニングには名作ペンダントライト(ポール・へニングセンデザインのPH5)を吊るし、空間に視覚的な重心を作っています。奥へと続く廊下には床から天井までベニヤで統一された木質建具をシームレスに並べ、美しいプライベート動線を確保しました。
・土間玄関のフリースペース
クライアントの趣味であるロードバイクや観葉植物を設え、余白となるスペースには十分な収納スペースを備えた。この空間は、趣味に没頭し、時間の経過を忘れてしまうようなプライベートな居場所として計画されている。
デスクを据えれば書斎となり、椅子を置けばコーヒーを片手に読書を楽しむラウンジにもなる。用途を限定しない余白を残すことで、その時々の暮らしに寄り添い、多様な過ごし方を受け止める。
日常の中にありながら、日常から静かに距離を置くことのできる、まさに「特別な空間」である。
新潟島の広大な景色を控えながら、室内では「木(ベニヤ)の温もり」と「石(モルタル)の静けさ」が絶妙なバランスで対比・調和する、上質な住まいが完成し、親から子へ継承された。












Data&Credit
| YEAR | 2026年5月 |
|---|---|
| LOCATION | 新潟市西区 |
| CATEGORY | 住宅 |
| STRUCTURE | RC造 |
| TOTAL AREA | 73㎡ |
| FLOOR | 1LDK |
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